本読みと山歩き

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zoom RSS 『山のパンセ』〜哲学者詩人の呟き

<<   作成日時 : 2016/12/29 09:52   >>

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串田孫一さん、哲学者・詩人 2005年没、岩波文庫 1995年第一刷。
詩的な、それでいて哲学的な随筆集。

『パンセ』とは、晩年のブレーズ・パスカルがある書物を構想しつつ書きつづった断片的なノートを、彼の死後に編纂して刊行した遺著である。「パンセ」は「思想」「思考」の意だそうだ。

     <ホームグラウンド「みろくの森」:冬の夕日と樹木:2016年12月25日>
画像


年末年始に読む本を探しに、名古屋駅の大きな書店を逍遥する。本屋の中を当てもなく歩くのが好きだ。
面白そうなものを探す小さな旅、でも、大海原を、果てのない大草原を歩く気分!
岩波文庫エリア、岩波文庫は敷居が少し高い、あの肌色の色気のない背表紙がそれを助長する。(笑)
表表紙のシンプルな山の絵、パンセという言葉、哲学者・詩人というキーワードだけで選んで購入した。

なかなか面白い。
全部で55、一つが10ページにも満たない短い文章だが、味があって奥が深い・・・
一枚の葉書からその地の秋の風景を、雪を待つ高原の一本の枯草の魅力的な表情を、思考は巡る。

ひとりの山:
『遠慮なく、山で出会うすべてのものと話を交わすことは独りの時に多い・・・ダケカンバの前に立ちどまり「どうです、今年の具合は」と訊ねる。すると不思議なことにダケカンバでさえ私に挨拶をする・・・』
ふたりの山:
『それは四月の末頃にことだった・・・私たち二人は何も気の置けない間だった・・・二人で岩をのぼり頂に立った・・・雲の去来を眺めなら、パンをかじった・・・夕暮れになり、急にお互いが自分以外のものが一緒にいることを意識し始め・・・二人で歩いていることが気まずくなってくるのだ・・・・二人と山との組み合わせに微妙な誤算があったのだ』

 一人歩きで、いろんなもとの会話をすることは確かにある。巨木に手を当てる、幾重にも重なる地層をほじくる、雲一つない誰もないい山頂から大展望を眺める、心穏やかなら十分に楽しい、でも そうでなければ。
 二人歩きは、感動や喜びや達成感を分かち合える。 でも、ちょっとしたひっかかりや言葉のかけ間違いで微妙な距離ができてしまい、その山行は微妙なものとなる。
 「山は自由だ」なんて単純なものではない、「神経が細かに震えはじめたら…急に自分の動揺や戦慄をかくそうとしてもそれが出来なくなる」のだ。
自分を、何にもはばかることなくさらけ出していられる自由などそうめったに得られるものでない。

哲学者の一言一言が、詩人の一言一言が心に染みます。
山と人、人と人の関係はどんなものか・・・正解のない世界で我らは生きている。
そんなそんなことを「思考」する本。年末年始に今一度、読み返そう。


新選 山のパンセ (岩波文庫)
岩波書店
串田 孫一

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
紹介された本で「日本の森列伝」を購入しました、見出しを選んで読み進んでいます。
 ブナの北限、温暖化による変化と非常に強く印象に残っています。
 鹿の食害は身近な問題で、常にその実態を感じ取ることが出来ます。
色々の視点から考えることができ、人との話題にも取り上げて楽しんでおります。
今年も色々楽しませて頂きました。
 来年もよろしくお願いいたします。
MORINOBUNA
2016/12/29 19:23
MORINOBUNAさんへ
コメントありがとうございます。今年も丹沢には行けませんでした〜(泣)
「日本の森列伝」は私の憧れの本なんです。
もっと森を歩いて、知って、感じて…あんな感じの文章を書きたい!
今年もありがとうございました。よい新年をお迎えください。
本読みと山歩き
2016/12/29 20:54
この本は、私も好きです。哲学者・詩人という肩書を持つ串田孫一氏ですが、平易な言葉を連ねた文章はかえって新鮮に思いました。串田孫一氏と双璧とされる尾崎喜八氏の美辞麗句を連ねた文とは正反対です。
串田孫一氏関係の本としては、編者としての仕事になりますが、ちくま文庫「忘れえぬ山」1〜3巻を是非読んでみてください。様々な執筆者の作品が収められており、発見があります。
では、良い年をお迎えください。
さすらい人
2016/12/30 19:03
さすらい人さんへ
昨晩も寝える前にいつくか読み返しました。
おっしゃるとおり、文章が平易が故に、読書側の解釈次第では、意味の幅が広がっていきます。
「忘れえぬ山」ですか、本の森≠ナ探してみます。
面白い海外の話題を来年も楽しみしております、よいお年をお迎え下さい。
本読みと山歩き
2016/12/31 08:59
明けましておめでとうございます。最近は日本に行ってもアマゾンで本を買うようになり、本屋に行ってわくわくする経験も減ってきました。懐かしい感覚です・
あつこ
2017/01/02 10:16
あつこさんへ
ぜひぜひ、デボンでもロンドンでも、大阪でも本屋へ足をお運びください。
歩いているだけで、心が豊かになること間違いなし!
今年も、大阪でお会いいたしましょう!
本読みと山歩き
2017/01/02 13:33
 本読みさんの書評はつい本屋さんで探したくなります。私の今年最初の本は「僕は明日、昨日のきみとデートする」(笑)でした。この歳でも家内と二人でキュンとしながら映画と原作を楽しみました。本年もよろしくお願いいたします。
KURI
2017/01/06 19:39
KURIさんへ
あけましておめでとうございます。
「僕は明日、昨日のきみとデートする」は本屋の全面によく出ていますね〜 
そうですか、奥様と二人でキュンとできるのか 最近キュンとしていないので、読んでみようかな(笑)
そういえば、
11月末に妻と二人で大津の三井寺に行って、大津駅前で彦根ちゃんぽんを食べました〜 デートでした。
朝飯前に琵琶湖湖畔を歩きました、やっぱりいいとこですね〜 街も綺麗で山も湖もあって…比良もよく見えた…今年は行きますよ
本年もよろしくお願いします。
本読みと山歩き
2017/01/07 09:42

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