『日本列島の生い立ちを読む』~プレートの動きがもたらす自然の驚異

岩波書店、2007年8月8日第一刷、自然景観の読み方シリーズの一つです。
元「地質班」としては必読の書です。ダイナミックなプレートの動きや列島のできた仕組みを知りたい方はぜひ。

そもそも、「地層からなにがわかるか」から始まります。
1.積み重なりから地層の新旧
2.化石から時代がわかる
3.地層の場所から、どんな場所でどのように推積したか
4.地層の上下左右からいつ隆起していつ浸蝕したか

         <藤原岳東部の砕石場(2011年2月撮影):こんなところは地層が良く見えるはず>
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そうやって見ると日本列島の生い立ちが見えてくる様です。
分かりやすくて面白かったのは、「四万十帯」の謎解きでした。
四万十帯とは、地層帯の一種で、日本列島の太平洋側、主に九州~四国~紀伊半島の露頭で顕著に見ることができます。
その露頭をよく調べると、北から南へ白亜紀前期・後記→古第三紀→新第三紀と時代が新しくなってきます。
北から南というと、陸側から海側へという意味です。それも地層は北側へ傾斜しているそうです。

なぜか? プレートテクニクス論で説明が付きます。日本の場合、太平洋プレートが大陸プレートに沈み込んでいます。
その際に、プレートの表面が剥ぎ取られ一方に付着します。これを「付加体」と呼び、四万十帯もそうやってできたものだというわけです。
これは今も続いており、よって海側が常に新しい時代の地層が付着していることになります。
この経験に基づき、関東の山地、美濃、丹波などの調査が進み、日本の骨格はこの「付加体」から構成されることがわかってきたのです。

その他、
正体不明だったチャートの解明、伊豆半島と丹沢山塊の列島への衝突の説明、海底探査の最新事情など。
日本列島の地層のなぞや成り立ちなど、興味深いことを突っ込んで解説してくれています。
ちょっととっつきにくい処もありますが、地質班にはおもしろいのです。
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          <藤原岳の麓の自然科学館にもプレートテクニクス論の説明がありました>
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プレートの厚さは約100km(すごい厚さ!)
その沈み込みの現場は、海溝(海の溝)です。 深さは6,000m(6km)~10,000m(10km)、プレートの厚さに比べればそう深くはありません。
 それにしても、このプレートの沈み込みとその付加体が日本列島の骨格を造ったとは。なんという地球の動きのダイナミックなこと。

一方で、
この沈み込みは、地殻で熱を発し火山となり温泉となり、気まぐれに起こす跳ね返りが“大震災”にも繋がっていきます。
震災は津波を起こし、街を壊し、原子力発電所を破壊し…。 
今回に限らず、地球の億年や万年単位の動きは、その時々において、生物へ甚大な被害を被らせています。
地球の動きは止めるすべは今の人類にはありません。 
できるのは、人の知恵、日本人の知恵で、被害をいかに最小限にとどめ、この困難をいかに乗り切るかであります。
今、地球の動きを止めよう!とは言いませんが、被害を最小限に食い止める日本人の知恵が試されています。

大学の友人がお勧めの震災応援歌!!
マキタスポーツ&子供たち「学童賛歌」、子供たちの素朴な歌声が被災者の方々へ届けばいいですね。


日本列島の生い立ちを読む (新装ワイド版 自然景観の読み方)
岩波書店
斎藤 靖二

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この記事へのコメント

いつこ
2011年03月28日 12:14
本読みさん、こんにちは♪
会社命令とは言え被災地への迅速な行動に本当に頭が下がります。
義援金と節電しかできなくて、何とももどかしいです。
買い占めはしないように・・東京直下地震に備えて3日~5日の食料を家庭で備蓄するように言われていたのに危機感がなくて、いつでもスーパーに行けば何でもあると思っていたので焦りました。暇な主婦が買い占めしているんではないんですが・・。
日本列島の生い立ち、怖くて読めません(涙)なんで、千年に一度が来てしまったんだろう。
2011年03月28日 19:47
今晩は。
沈み込んだ付加体が日本列島で、削られながらくっついて出来たとは、プレートなんてせいぜい10kくらいかと思っていたら100kですか、壮大過ぎて想像も付きません、そんなのがちょっとズレればやはり大地震に繋がりますね。今朝も大きいのがありました、耳を下にして寝ていたら、音が少し伝わって来ました。
ほんよみと山歩き
2011年03月28日 20:29
いつこさんへ 
義援金と節電! 十分な支援ではないでしょうか。
東京ではある程度の買いだめはいたしかたあるません。
名古屋や大阪でも買い占めする方がいるようで、それを不可思議に思っているわけです。
千年に一度、万年に一度のプレートの動きがこんな甚大な被害がでるとは。
自然の恐ろしさを改めて感じてます。
本読みと山歩き
2011年03月28日 20:32
インレッドさんへ こんばんは。
プレートってのは、本当に厚いです。 こんなのが、ゆっくりと地球の表面を動いているのですね。考えるとその上にのっている我々はほんとうに不安定な土地の上にのっていると言わざるをえません。
気を引き締めて、活きて行かねばと思っています。
関東方面ではまだまだ余震が続いているようですから、まだまだ気を緩めずに、頑張ってください。
あつこ
2011年03月29日 07:32
地震津波の被害は恐ろしいものですが、その自然の力には畏怖の感を持たずにはいられません。次々と公開される津波のビデオを見て、まるで当たり前のように普通のことのようにやってくる波の力を見せ付けられました。そして当たり前のことと思ってた人間の営みがどんなに脆弱なものか。波や地震やプレートにとっては、このくらいの動きはくしゃみ程度のものなのでしょうか。。
本読みと山歩き
2011年03月29日 21:45
あつこさんへ こんばんは!
残念ながら、そうなのかもしれません。自然の猛威は誰も防げません。
でも、人間の知恵は無限大です。
きっと今の困難を乗り切れるし、より良い対策も打てるでしょう!
そう信じています。
 ところで明日より、再び山形・宮城へ出張となりました。
今度は拠点の立て直しであります。経済の復興はかの地のためでもありますから、できるだけのことをやってきます!!
2011年03月30日 21:28
今晩は!
30日から、またまた東北出張ですか。
頑張れという言葉は不適切かも知れませんが、頑張ってきてください。
元「地質班」どころか、びっくりするようなことをいろいろ教えて貰えます。
大したものです。
100Kmの暑さの、その沈み込みの現場が海溝(海の溝)ですと?
深さは6km~10km、プレートの厚さに比べればそう深くはありませんですと?
世界一高いエベレストが8000m代なのですよ。
2011年04月01日 10:13
自然の、地球の持つエネルギーの巨大さに人間の持つ力のなんと小さいことか。
でも人間には知恵と言う大きな武器がありますね。
自然をコントロールするなどという大仰な事は考えずに回避し又上手く利用していくことが大切だと思いました。
本読みと山歩き
2011年04月02日 07:45
甘納豆さんへ おはようございます。
現在 仙台におります。
仙台市の街中は復興が進んでいるように見えますが、海側はまだまだです。
もう3週間もたつのに、被害状況が把握できていない場所もあります。
おそるべき、自然の力。
 ここまだ深いと、海溝は溝(みぞ)ではないですね。
海山(かいざん)とうのもあるそうです。美しい地球は広くて不可思議で、怖いです。
本読みと山歩き
2011年04月02日 07:48
ミニミニ放送局
人間は小さい。地球規模でみれば、生態系のひとつにすぎません。
うまく利用することがやっぱり大事なんですね。
今回、再度仙台を訪問しておりますが、被災地や被災者を前に、まずは自分にできることをやろうと思っています。

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