本読みと山歩き

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zoom RSS 『遠い山なみの光』〜カズオ・イシグロという作家

<<   作成日時 : 2017/12/09 08:37   >>

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話題の作家です。カズオ・イシグロさん、今年のノーベル文学賞作家。
1960年5歳の時に日本人の両親と英国に移り住む。
サリー州ギルフォードという町だったそうだ。田舎町で通った小学校に日本人は彼だけ。
この本は1979年にロンドンで執筆したそうだ、当時まだ24歳。 長編小説のデビュー作。

舞台は戦後間もない長崎、原爆投下から復興へ目指して少しづつ変わろうとしている。
主人公は悦子という女性、今はロンドンに住んでいるが、昔のことを思い返している。
小説の語り部となって、あてにならないアメリカ男に未来を託そうとしている友人の女性とその子供を見ているという物語です。

昔ながらの厳格な父親や夫、それに翻弄される女性、戦争で日本が負け、良くも悪くも 社会が大きくパラダイムチェンジしつつある中、自力では生きていけない母子、それを見つめる悦子。
なにを頼りどう生きていくか懸命に、考え、、わずかな光を求めて生きるさまが描かれています。

力強い描写ではなく、悦子のその母子の普段の会話を通じて、淡々と描写している。
まるで、この作者がインタビューに答えているときのように、冷静に淡々と。
時々、場面と時間が切り替わり、主人公のロンドンの現在の様子が語られます。
この母子の物語と今はロンドンにいる主人公(悦子)の物語とこの作者自身の物語が次第にシンクロしてくる不思議な構成になっている。

原作名は A Pale View of Hills です。 長崎の稲佐山からの眺めの事でしょう。
主人公とこの母子がケーブルカーと徒歩でこの山をおとずれ、絶壁からあるか眼下に広がる長崎の街並みを眺めます。
「あの辺りはみんな原爆でめちゃめちゃになったのよ、それが今はどう」 母子が笑顔で話します。
「今日はとても元気ね、悦子さん」と主人公。
この短い会話から、山からの眺めで、過去と現在、見えない自分の未来を眺めている -に違いない。 ・・・自分の思いともリンクする場面。 
昨日(12月7日)のアカデミー賞講演で作者が語ったそしていくつかのささやかな発見≠ゥもしれません。

題名に、「山」名前があったこと、舞台が日本であったこと、カズオ・イシグロという時の人の小説であったこと、
この3つのKewWordだけで手に取った本でしたが、おもしろい本でした。


遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)
早川書房
カズオ イシグロ

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
今から30年位前、ロンドン大学にいたときの課題が、彼のAn Artist of the Floating Worldで、その頃新鋭作家だったイシグロ氏がレクチャーに来てくれたことがありました。本にサインしてもらったと思うんだけど、捨ててしまったと思います。将来ノーベル賞を取るとはもちろん思わなかったけど、受賞を聞いても驚きませんでした。彼はぜんぜん日本語は話せないらしいですが、これを英語で英語で読んだときに、英語で書かれたとは思えないくらい日本文学っぽい文章だなあと思った記憶があります。
あつこ
2017/12/10 08:13
あつこさんへ
おおサインを貰ってましたか!? レクチャーに来るということはそれなりに若い頃から注目されていたということですね。
この本も長編デビュー作にして、王立文学協会賞を受賞しています。
私は、逆に、日本の記憶がほとんどなく英国でそだった彼が英語で描く日本の社会を、日本の描写をどうやって英語で表現しているのか興味深く思いました。
もうちょっと英語力があれば、オリジナルで読みたいと思うところですが…中国語ならね(笑)
本読みと山歩き
2017/12/10 14:50
この人の作品はまだ読んでいないのですが、数年前テレビで、日本では知られていなけど英語で作品を出版して文学賞ももらっているすごい日系人という話題を見たことがあります。その時は名前を覚えはしなかったのですが、カズオ・イシグロさんだったのですね。
日本語訳の本を出している早川書房というと、ミステリーとSFの翻訳本でお世話になっているので、この本が売れてもうかって、他の翻訳本の出版が順調に行われると良いなと思っています。
さすらい人
2017/12/12 15:54
さすらい人さんへ
早川書房は手広いですね、
昔はアガサクリスティものはほとんで読みました。
というかその作者だけでしたが。
今ホットな彼の本がずらっと並んでいますので、余波でほかの名作も読めるようになるとよいですね。
また、面白い本をご紹介下さい。
本読みと山歩き
2017/12/16 19:43

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